中小企業のための簡単・安価なデータバックアップ戦略 その1
皆様、こんにちは。
株式会社カチカのオフサイト&コールドバックアップ業務担当の村島です!
どんどん暑くなって行っていますね。正直暑いのは苦手なんですよね…。冬場寒いのは部屋中暖めなくてもいいのですが、暑いときにはエアコンで部屋中涼しくするしかないんで電気代もかかりますしね。
というわけでいつもの関係ない話行きましょうか。
チャカラックというギャンブルがあります。籠がひとつありまして、中にサイコロが3つ入っています。この籠をひっくり返すことによって、サイコロがそれぞれ目を出します。客は1から6までの目に張り、その目が出たらお金をもらえるという仕組みです。
ある人は考えます「もしサイコロが1つだったら6回勝負して1回の割合で僕の目が出る。2つだったら6回の勝負のうち2回だ。3つなら6回勝負のうち3回だ。とすれば五分五分ってわけだ。でも僕の勝ち目は五分五分以上だ。例えば5に1ドル賭けて、2つのサイコロで5が出たら2ドル儲かる。3つともなら3ドルだ。この勝負どう見ても僕がいただきだよ」
ギャンブラーがみんなこう考えてくれるので胴元はお金持ちになるのです。でも、胴元が有利な理由がわかりますか?
というわけで、本題に入っていくわけですが
いきなりですが、今回から1回あたりの文章をちょっと短めに切り上げることを考えたいと思います。
どう見てもどんどん長くなっていっていますので。
というわけで、今回は「中小企業のための簡単・安価なデータバックアップ戦略」について考えていきたいと思います。
ごくごく基本的なところから話が始まりますが、どうぞご容赦ください。
なぜ今、中小企業にバックアップが必要なのか?
これまでも散々述べてきたことなのですが、やはりスタート地点はここだと思います。話がややこしくなってきたとき、往々にして「最初の目的はなんだったのか」ということを我々は忘れがちです。
というわけでここから話を始めましょう。このnoteでも、必要とあらば何度でもこのスタート地点に立ち返ります。
では、話を始めましょう。
現代ビジネスにおいて、データは企業の最も重要な資産のひとつとして位置付けられています。顧客情報、会計データ、設計図、契約書など、あらゆる情報がデジタル化され、日々の事業活動の基盤を形成しています。しかし、これらの重要なデータが予期せぬ事態によって失われた場合、事業は停止し、顧客からの信頼は失墜し、さらには法的責任を問われる可能性さえ生じます。
データ損失の原因は多岐にわたります。日本特有の広範囲なリスクとして、地震、火事、洪水といった自然災害が挙げられます。その他にも、システム障害、従業員による誤操作や機器の破損といったヒューマンエラー、そして近年特に深刻な脅威となっているランサムウェアによるデータ暗号化や盗難などのサイバー攻撃が頻発しています。あるアンケート調査では、中小企業の約5人に1人が「バックアップを実施していない」という実態が明らかになっており、多くの企業がデータ消失という事業継続に関わる重大なリスクに対して、無防備な状態にあることが示唆されています。データが失われることは、事業活動の停止、復旧にかかる時間とコストの増大、顧客や取引先からの信用失墜、さらには法的義務違反による罰則など、計り知れない損失をもたらす可能性があります。
この文章は、限られた予算とITリソースを持つ中小企業の経営者やIT担当者の方々が、データ損失のリスクを最小限に抑え、事業継続性を確保するための、簡単かつ安価で効果的なバックアップ体制を構築するための実践的な指針を提供することを目的としています。専門的なIT知識がない方でも理解できるよう、平易な言葉で具体的なバックアップ方法の選択肢、それぞれのメリット・デメリット、導入・運用コスト、そして重要なセキュリティやコンプライアンスに関する考慮事項を解説します。
中小企業がバックアップを軽視する背景には、単なる情報不足だけでなく、より根深い構造的な課題が存在します。アンケート調査からは「クラウド管理を実施するコストが高いから」「コア業務が忙しくて、NASのデータ管理の見直しの時間がないから」「経営者がバックアップの重要性を理解していない為」といった具体的な理由が浮かび上がっています。これらの要因が複合的に作用し、多くの企業がバックアップ未実施という状況に陥り、結果としてランサムウェアや自然災害といった予期せぬトラブルに対して極めて脆弱な状態を生み出しています。さらに、個人情報保護法や電子帳簿保存法といった法規制への対応も現代ビジネスにおいては必須であり、バックアップ体制の不備は、単にデータを失うだけでなく、法的罰則や承認取消し、重加算税といった法的リスク、さらには企業の存続そのものを脅かす信用失墜リスクにも直結します。したがって、バックアップは単なるIT対策ではなく、事業を守るための必須投資として認識されるべきです。
データ保護の「3-2-1ルール」とRPO/RTO
「またか」「もういいよ」という皆様のお言葉が聞こえてくるような気がいたしますが、やっぱり強調したいのがこの「3-2-1ルール」です。というわけで話をさせていただきます。
効果的なバックアップ体制を構築するためには、いくつかの基本的な原則を理解し、自社の状況に合わせて目標を設定することが重要です。
データ保護の「3-2-1ルール」の重要性
「3-2-1ルール」は、データの消失リスクを最小限に抑えるための国際的な「鉄則」であり、中小企業にとっても非常に有効な戦略です。このルールを実践することで、単一の障害点に依存しない、堅牢なデータ保護を実現できます。
「3つのコピー」:オリジナルデータとは別に、最低2つのバックアップコピーを作成することが推奨されます。これにより、もしオリジナルデータが破損したり失われたりしても、別のコピーから復元できる確率が高まります。バックアップが1つだけだと、オリジナルとバックアップが同時に失われるリスクがあるため、三重化することで安心感が増します。
「2種類の異なるメディア」:バックアップは、異なる種類の機器やメディアに保存することが重要です。例えば、NASと外付けHDD、またはNASとクラウドストレージのように組み合わせます。同じ時期に購入した同型機器は、経年劣化などにより同時に故障するリスクがあるため、多様性を持たせることがデータ保護の鍵となります。
「1つの遠隔地保管」:バックアップの少なくとも1つは、物理的に離れた遠隔地に保管することが不可欠です。これは、地震、火災、洪水といった広範囲な災害からデータを守るために特に重要です。遠隔地として、別のオフィス、従業員の自宅、またはクラウドストレージ(オンラインストレージ)の活用が特に推奨されます。クラウドは地理的に分散されたデータセンターにデータを保管するため、自然災害に強いという大きなメリットがあります。
多くの企業が「3-2-1バックアップルール」を十分に理解していない、あるいは実践できていないという指摘があります。しかし、このルールは単なる技術的な要件に留まらず、データ損失という経営リスクを回避するための「安心感」を提供します。例えば、NASは初期費用がかかるものの月額費用は電気代のみと安価であり、クラウドは初期費用ゼロで月額費用が発生します。このコスト特性を考慮し「NASとクラウド」を組み合わせるハイブリッドアプローチは、NASで社内での高速アクセスとRAIDによる耐障害性を確保しつつ、クラウドで遠隔地保管と自然災害への強さを実現できます。この組み合わせは、単一のソリューションに比べて初期投資と運用コストのバランスを取りやすく、高額な単一ソリューションに依存することなく、リスク分散とコスト効率を両立できる現実的な選択肢となります。さらに、ランサムウェア対策として「バックアップを暗号化して、複数のコピーをオフラインや別のシステムで維持する」という要件は、3-2-1ルールをセキュリティの観点から補強し、より包括的なデータ保護を促すものです。このように、3-2-1ルールは、中小企業が限られたリソースの中で「安心感」と「コスト最適化」を両立させるための戦略的なフレームワークとして機能します。
RPO(目標復旧時点)とRTO(目標復旧時間)の理解と設定
事業継続計画(BCP)を策定する上で、RPOとRTOはデータ復旧に関する重要な目標値です。これらを明確に設定することで、どのようなバックアップ体制が必要か、どこに投資すべきかを判断できます。
RPO(Recovery Point Objective:目標復旧時点):災害発生時に、どの時点までのデータ損失を許容できるかを示す目標値です。例えば「1時間前までのデータは確実に復旧できる」といった目標です。RPOが短いほど、より頻繁なバックアップが必要となり、結果的に運用コストが高くなります。
RTO(Recovery Time Objective:目標復旧時間):災害発生後、システムや業務をどのくらいの時間で復旧させ、通常運用を再開できるかを示す目標値です。例えば「24時間以内にシステムを完全に復旧させる」といった目標です。RTOが短いほど、迅速な復旧を可能にするための高価なシステムや専門人材が必要となり、コストが高くなります。
RPOとRTOは、事業継続計画(BCP)の核となる指標であり、取り扱う情報やシステムの重要性に応じて設定する必要があります。例えば、金融情報や個人情報など、機密性が高く、リアルタイム性が求められるデータを扱う場合は、RPOとRTOをより厳しい基準で設定することが要求されます。RPOやRTOを短く設定するほど運用コストは高くなるため、自社のビジネスへの影響度、発生頻度、そして予算を考慮し、現実的な目標値を設定することが重要です。すべてのデータに最高のRPO/RTOを適用するのではなく、リスクとコストのバランスを見極めることが賢明です。
RPOとRTOを短く設定するほどコストが高くなることは、中小企業にとって大きな課題となります。しかし、すべてのデータやシステムを最高レベルで保護する必要はありません。「取り扱っている情報やシステムの重要性に応じてRPOとRTOを設定しましょう」という助言は、この課題に対する解決策を示唆しています。具体的には「想定されるインシデントを洗い出し、リスクに対して優先順位付けを行う」ことが推奨されます。これは、ビジネスへの影響度が大きいものから優先的に対策を講じるという、戦略的アプローチの必要性を示しています。例えば、日次で更新される会計データはRPOを短く、数年に一度しか更新されない過去のプロジェクト資料はRPOを長く設定するなど、データの種類や重要度に応じてバックアップ頻度や方法を変えることで、コストを最適化できます。また、RTOを短縮するためには、単にバックアップデータがあるだけでなく、復旧プロセス(「自動で整合性確認までできるか」「手作業で整合性確認が必要か」など)の効率化も不可欠であり、復旧手順の文書化や定期的な訓練もRTO短縮に寄与します。このように、RPO/RTOの設定は、単なる技術的な数値目標ではなく、中小企業が限られた予算の中で「どこまでリスクを許容し、どこに投資するか」という経営戦略的な判断を伴います。
今日はこのあたりで終わります
今日はこのあたりで終わりにしたいと思います。これまでずいぶん長い文章が続いた分「なんだか短くないか?」という感想を持たれる方が多いと思いますし、誰よりも私がそう感じているのですが、実際のところ長い文章を書くことが必ずしも良いこととは限りませんし、何よりもこの文章、この次で話題が変わるんですよ。
ですのでこのあたりで今日は終わりです。どうぞご了承ください。
Geminiさんのお手並み拝見シリーズです
昨日はこんな絵をGeminiさんに描いてもらったんでした。

これ、おわかりになった方多かったんではないでしょうか。今回のGeminiさんへのリクエストは「鼠小僧の絵を描いて?」でした。
「鼠小僧」というのが実際どういう人だったかというと、以下Wikipediaが情報源になってしまうのでちょっと申し訳ないのですが。
本名は次郎吉。大名屋敷を狙って盗みに入り、人にけがを負わせるようなことがなかったため義賊として伝説になって、結局歌舞伎の題材にまでなったんですね。本職は鳶職だったとも言われるそうです。
盗んだお金を貧乏人に配った、なんていう言い伝えもあるそうで、実際お役人に自宅を家宅捜索されたときにお金は全くなかったそうです。しかし貧乏人に配ったという証拠は何もなく、実際のところ遊びに使ったのでしょう。
ちょっと話はそれますが、時代劇にありがちなシーンについてひとこと物申しておこうと思います。
千両箱を担いで屋根に上り、ひらりと飛び去っていく泥棒、なんていうのが時代劇に良く出てきますが、考えてみてください。千両箱ってそんなに軽いと思いますか?
私は歴史のことについては学者より桂米朝師匠のことを信用している人間なのですが、千両箱というものには十両小判が100枚入っていたんだそうです。この十両小判というのは正式なお金ではなく、これを両替屋に持っていったら一両小判10枚に替わったそうなんですが、いずれにせよ金または金と銀の合金がそれだけ入っていたらとても重かったと思います。片手で担ぐなんて無理でしょうし、屋根に上ったら穴が開きますって。
まあそんなわけで、後代になっていろいろエピソードが追加された系ヒーローだと思います。
では、今日も1枚、Geminiさんに描いてもらいましょう。

ヒント行きましょうか。
つい最近まで、存在すら忘れられていた人でした
それどころか、架空の人物説すらあります
こんなおしゃれな格好をしていた人ではありません
では、今日はこれで失礼致します。
今後ともよろしくお願いいたします。
なお、弊社の業務をご紹介するちゃんとしたWebサイトは現在鋭意作成作業中です。今しばらくお待ちください。
目次
クラウドストレージと遠隔地バックアップの相互補完性
クラウドストレージのデータ消失に関する責任の所在
ディザスタリカバリ手順をあらかじめ決めておくべき理由
弊社でお取り扱いしておりますデータ・OSにつきまして
クラウドストレージのメリット・デメリット
Windowsからの乗り換え先になるか? Linux MintとChrome OS Flex
バックアップの方法 オフライン・オンラインバックアップとは?
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その1
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その2
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その3
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その4
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その5
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その6
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その7
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その8
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その9
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! ラスト
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を見ていきましょう!
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を見ていきましょう!その2
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を見ていきましょう!その3
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を見ていきましょう!その4
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その1
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その2
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その3
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その4
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その5
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その6
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その7
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その8
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その9
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その10
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その11
─事件を解決せよ─ CASE2:Webサイトのデータが消えた Part 1
─事件を解決せよ─ CASE2:Webサイトのデータが消えた Part 2
今日はバックアップに関する最近の話題をつらつら語りたいと思います
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その12
─事件を解決せよ─ CASE3:火事でオフィスが焼失 Part 1
─事件を解決せよ─ CASE3:火事でオフィスが焼失 Part 2
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その13(最終回)
今日はバックアップに関する最近の話題をつらつら語りたいと思います その2
オフサイトバックアップに関する最近の話題をつらつら語りたいと思います
バックアップがきちんとしていれば起きていなかった情報事故 その1
バックアップがきちんとしていれば起きていなかった情報事故 その2
中小企業のための簡単・安価なデータバックアップ戦略 その10
大企業における物理的媒体による遠隔地バックアップの重要性 その1
大企業における物理的媒体による遠隔地バックアップの重要性 その2
大企業における物理的媒体による遠隔地バックアップの重要性 その3
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