エアギャップバックアップの最新動向について その2
皆様、こんにちは。
株式会社カチカのオフサイト&コールドバックアップ業務担当の村島です!
梅雨が帰ってきましたね。
本当に免許の書き換えに行った日だけ梅雨だったと思っていたんですが。
だいたい免許の試験場って不便な立地にありますからね。
ただありがたいことにいまはスマホというものがあります。現在地から試験場まで最短の時間で行く経路とか検索できるんですね。
この間の書き換えも行きと帰りで違う経路になりました。
バスも空いててその点だけはありがたかったなと思います。
では、いつものやつ行っておきましょう。
1万人がそれぞれ10回サイコロを振ったとき、出る目が完全に一致するペアはいるのでしょうか?サイコロを10回振ると、出る目のパターンは6^10=6046万6176通りあることになります。ですので直感的には1万人集めたところで、目が完全に一致するペアなどいないように思えます。ところが実際に計算してみると、出た目が10回とも完全に一致するペアが存在する確率は、50%を超えます。
一般にn通りのパターンがあるものについて、一致するペアが存在する確率が約50%になるのは1.18√n人集めたときであることが知られています。この1.18√nをサイコロを10回振る場合に当てはめてみると、1.18√60466176=1.18x7776=9175.68となります。つまり9176人いれば、一致するペアがいる確率は50%を超えることになります。
こういう、一見不思議に見えても実は不思議でも何でもないことを「疑似パラドックス」なんて言います。この手のものは結構たくさんあるかもしれませんね。
では、本題に入って参りましょう。
エアギャップバックアップの基礎と進化
まず、エアギャップバックアップの基本を押さえてから、これまでどうなって現在に至るのかを確認していきましょう。
なぜデータ分離が必要なのか
エアギャップバックアップとは、バックアップデータをインターネットや社内ネットワークから物理的または論理的に分離し、オフラインの状態に保つことを指します。その究極の目的は、バックアップを完全に分離し、ハッカー、マルウェア、特にランサムウェアがアクセスできないようにすることにあります。メインシステムとの間に直接的なネットワークリンク、Wi-Fi接続、デジタルテザーが存在しないため、サイバー犯罪者がバックアップ環境に侵入することは極めて困難です。これにより、ランサムウェアがバックアップデータにアクセスして暗号化する経路がなくなり、オンライン上の脅威のリスクが大幅に軽減されます。重要データをオフラインでバックアップし、侵害されたネットワークからアクセスできないようにしつつ、データが存在するシステムから変更や削除ができないようにバックアップのセキュリティを確保することが、この戦略の核心です。
物理的エアギャップと論理的 (仮想) エアギャップの比較
エアギャップバックアップは、その分離方法によって主に「物理的エアギャップ」と「論理的(仮想)エアギャップ」の2種類に分類されます。
物理的エアギャップ
物理的エアギャップは、バックアップシステムがネットワークから物理的に分離されている従来の方法です。具体的には、バックアップが完了した後に外付けハードドライブやテープをネットワークから物理的に取り外し、オフラインで保管するようなものです。バックアップメディア(ハードディスクやテープなど)は、ネットワークに接続されていない安全な場所、例えばオフサイトの金庫や専用のサーバールームなどに保管されます。接続がなければアクセスもできないという、シンプルながらも非常に効果的な防御策です。
利点:
物理的エアギャップの最大の利点は、真の分離を実現できる点にあります。データをネットワークから完全に切り離すことで、最も高度なサイバー攻撃であってもバックアップに直接到達することが不可能になります。また、ネットワークベースのセキュリティ対策から独立した防御層を提供するため、広範囲にわたるネットワーク侵害や攻撃の影響を受けにくいという強みがあります。
課題:
一方で、物理的エアギャップにはいくつかの大きな課題が存在します。
運用上の複雑さ:バックアップメディアの移送や保管には手動プロセスが伴うことが多く、ヒューマンエラーが発生する可能性が高まります。また、多大な時間と労力を要するため、運用上の複雑さが大きな問題となります。
拡張性の限界:データ量が増加するにつれて、物理的なストレージの管理と維持はますます煩雑になり、拡張性が制限されます。
復旧時間:災害が発生した場合、エアギャップされたバックアップからデータを物理的に取得し復元する作業は、事業継続の取り組みを著しく遅らせる可能性があります。
物理的アクセスと内部脅威:物理的にアクセスできる人物によって、バックアップメディアが盗難・破壊・改ざんされる可能性があります。また、最も厳格にエアギャップされたシステムであっても、人によるセットアップとデータ転送が必要であり、このプロセスに関わる人が信頼できない場合、システム全体への信頼が失われる可能性があります。
論理的(仮想)エアギャップ
論理的(仮想)エアギャップは、バックアップを隔離するためにソフトウェア制御に依存する方法です。データはクラウド上または別のサーバー上に存在していても、暗号化やアクセス制限などの厳格なセキュリティ対策により、バックアップ環境がメインネットワークから保護された状態が維持されます。データはネットワークに電気的に接続されているものの、論理的に分離されており、有効な資格情報を持ち、多要素認証を通過した人以外は、データを参照、削除、変更することができません。さらに、データのコピーは暗号化され、イミュータブル(変更、コピー、削除ができない)であることが保証されます。
仕組み:
仮想エアギャップの設定の多くは、仮想化ハイパーバイザーを使用して複数の隔離された仮想マンン(VM)やコンテナを作成することで実現されます。これらのVMやコンテナは同じ物理ハードウェアを共有しながらも、独立したシステムとして動作します。また、仮想ローカルエリアネットワーク(VLAN)やソフトウェア定義のネットワーク(SDN)を使用しても、 仮想エアギャップされたバックアップのネットワークをセグメント化できます。ファイアウォールは通常、データフローを制限する厳格なルールで構成され、多くの場合、特別に許可されない限りすべての通信をブロックするデフォルト拒否ルールが含まれます。データが一方向のみに流れるように、データダイオードと呼ばれる一方向の通信ゲートウェイも使用されることがあります。バックアップデータへのアクセスには、多要素認証(MFA)やロールベースのアクセス制御(RBAC)が必須であり、これにより異なるセグメントやVM同士が厳しく制御されたエントリーボイントを通さずに通信できないようにします。
利点:
仮想エアギャップは、物理的エアギャップと比較して、はるかに安価で簡単にデータの保護と管理を実践でき、問題発生時の迅速なデータ復旧を可能にします。物理的な完全隔離が非現実的な場面で最も有効であり、適切な認証とRBACがあれば、世界中どこからでもエアギャップされたデータ資産にアクセスできます。運用コストが低く抑えられ、スタッフは現代のビジネスで必要とされる厳格なSLA(サービスレベルアグリーメント)を満たす時間内にデータをリストアできます。このアプローチは、データセキュリティ戦略を強化し、サイバー攻撃や内部脅威からデータを保護し、ビジネスリスクを低減し、大規模なインスタントリカバリによってダウンタイムを短縮するメリットを提供します。
物理的エアギャップから論理的/仮想エアギャップへの進化は、エアギャップの概念(分離)が依然として重要であるものの、その実装が、現代のITインフラ(特にクラウドやハイブリッド環境)にシームレスに統合される、高度に自動化されたソフトウェア定義のソリューションへと移行していることを示しています。これにより、組織は俊敏性を犠牲にすることなく、あるいは法外な運用コストをかけることなく、堅牢なセキュリティを実現できるようになります。これは「エアギャップ」が物理的な切断から、高度なセキュリティ制御による論理的なアクセス不能性へと焦点を移していることを示唆しています。
課題:
論理的エアギャップは、認証情報の侵害や設定ミスにより不正アクセスが可能になるため、内部脅威の影響を受けないわけではありません。テクノロジーが堅牢な隔離メカニズムを提供しても、人的エラー、内部脅威、または認証情報の侵害は依然として重大な脆弱性として残ります。 これは、強力なアクセス制御(MFA、RBAC)、セキュリティ意識向上トレーニング、および異常な行動に対する継続的な監視を含む、包括的なセキュリティアプローチの重要性を強調しています。単にデータを隔離するだけでなく、そのデータを管理する「アクセスポイント」と「人的プロセス」を保護することが不可欠です。

(クリックで拡大)
この比較表は、エアギャップの主要な2つのタイプを直接比較することで、その根本的な違い、強み、弱みを迅速に把握できるように構成されています。これは、適切な戦略を選択する必要がある意思決定者にとって非常に重要です。従来の物理的な手動万法から、現代の目動化され、柔軟なアプローチ(論理的/仮想)への移行を視覚的に示し、現代における「エアギャップ」の概念の進化を強調しています。利点と欠点(例:復旧時間、運用上の複雑さ)を明確にすることで、組織が自社の特定のニーズ、リスク許容度、インフラストラクチャーに最も適したタイプを評価するための実用的な情報を提供します。
今日はここまでと致します
この次がまた話題が変わりますので、今日もちょっと短いですがここまでといたしたいと思います。
仮想エアギャップのことについて内部脅威への脆弱性しか挙げませんでしたが、もちろんの話ですがネットワークにつながっている以上、その防御壁が突破されてしまう可能性だってゼロとは言えません。
P≠NP予想というのがありまして、P問題とNP問題に関する主張ということになります。P問題というのはめちゃくちゃ簡単に言ってしまうと比較的短時間に解ける問題のことを言い、NP問題は答え合わせは簡単でも答えを見つけるのは大変難しい問題のことを言います。
素因数分解について考えてみますと、919x683=627677となりますね。電卓があれば一発ですし、筆算で解いてもそんなに難しい問題ではありません。こういうのをP問題と言います。
ところがこれを逆にしてみてください。627677の素因数分解を行う(今回は先に素数のかけ算で計算しましたがそういう前提がないものとして)ことはとても難しいです。これはNP問題と言います。
このような特性から、素因数分解はネット上の暗号化に利用されています。仮想エアギャップにおいて部外者を入れないための「壁」になる技術として素因数分解が使われているのかどうか、そのことに関しては実際のところ私も知らなかったりするのですが、まあこのP≠NP予想の技術が使われているとしましょう。
こういうことが成り立つとすれば、P問題はNP問題に包含されることは疑いのないことだと思います。問題は、NPだけどPではない問題はあるか?ということなんですね。これが実はまだわかっていないのです。
素因数分解はNPっぽいですが、実はわかっていないだけでPであるかもしれないということが言えます。もしP=NPが証明されれば、効率的に素因数分解する方法が存在することになり、とある教授は「P=NPを証明した人は22兆円分のビットコインを盗む」と発言しました。
この問題は人類にとって重要な問題として約1億円の賞金がかけられています。
というわけで、例えば暗号化技術ひとつとっても「今のところまだ非常に難しい問題ではあるけれども、かと言って不可能と決めつけることはまだできない」という数学上の問題によって実現されていたりするんですね。この辺でP=NPであるということがわかってしまったら、世界中のセキュリティが甚大な被害を受けることになります。
上で述べましたとおり、物理的エアギャップは真の分離を実現できます。最も高度なサイバー攻撃であってもバックアップに直接到達することが不可能になります。運用上の複雑さ、拡張性の限界、復旧時間、物理的アクセスと内部脅威という課題がありますが、申し訳ないのですがこれらの課題をすべて弊社が肩代わりするということは物理的に不可能です。
しかし物理的エアギャップの堅牢さには非常に多くの利点と魅力があります。お客様には最低の労力的、費用的ご負担だけをお願いし、他はすべて弊社にお任せいただけるようにサービスを展開いたしております。どうぞご一考いただければ幸いでございます。
というわけでいつものやつやります
昨日、Geminiさんが描いてくれたのはこんな絵でした。

これは「チャールズ・ポンジの絵を描いて?」とお願いしたら出力されたものです。写真が何枚か残っているのですが、Wikipediaにもありますね。

(画像はWikipediaより)
フルネームはカルロ・ピエトロ・ジョヴァンニ・グリュエルモ・テバルド・ポンツィ。イタリアからアメリカンドリームを夢見てアメリカに渡り、いろんな仕事をしながら英語を学んだりして努力して、その一方でいろいろな犯罪に手を染めていますね。
最終的に「高配当保証付き」という、今の時代だったら完全に法に触れてしまうであろう投資を謳って多額のお金を集めて、それが詐欺だってことになってしまいます。
本来であれば何らかの事業に投資してそこから上がってくる利潤をみんなで分配するというのが投資というものの本来のあり方ですが、ポンジがやっていたのは新規会員の出資金を昔からの出資者に回しているだけというものでした。このスタイルをはじめて考案したのがこの人なのかどうかは知りませんが、少なくとも大々的にやったのはこの人がはじめてということになるのでしょう。というわけでこのスタイルの詐欺を「ポンジ・スキーム」と呼ぶことになってしまっています。
この詐欺の恐ろしいところは、被害額が巨額になればなるほど、この詐欺の「事業」としての正当性に説得力が出てきてしまうというところにあると思います。結末としては集めたお金を持って犯人がドロンするということになるわけですが。
でもこの詐欺は犯人にとっても難しいのは、ドロンするタイミングの見極め方なんですね。「もうちょっといけるはず」なんていう風に欲をかくとあっという間に内情が知れてしまいます。行こうと思えばまだちょっと行けるんだろうな、ぐらいのタイミングで逃げるべきですね。ってなんで犯罪のやり方について解説しているんでしょう私は。
まあ外国人について描いてもらったということでGeminiさんの回答はそんなに的外れでもないような気がしますが、Geminiさんの描いたチャールズ・ポンジはなんか真っ当なビジネスマンに見えますよね。そして皆さん気がつかれましたでしょうか。

限りなく正解に近い文言が背景の新聞っぽいものの中に書かれていたということを。
やはり難しい問題を作るなら日本人を選んだ方が良さそうですね。というわけで今日もGeminiさんに1枚お願いしてみましょう。

ヒント行きましょう。
武将です
一番背後に描かれている敵兵?は西洋風な鎧に見えますが、外国人と戦った経験はないはずです
「もうちょっと早く生まれていたら日本の歴史も変わっていただろうなあ」と考えるファンも結構いらっしゃるはずです
というところですね。
正解はまた次回ということで。
今後ともよろしくお願いいたします。
なお、弊社の業務をご紹介するちゃんとしたWebサイトは現在鋭意作成作業中です。今しばらくお待ちください。
目次
クラウドストレージと遠隔地バックアップの相互補完性
クラウドストレージのデータ消失に関する責任の所在
ディザスタリカバリ手順をあらかじめ決めておくべき理由
弊社でお取り扱いしておりますデータ・OSにつきまして
クラウドストレージのメリット・デメリット
Windowsからの乗り換え先になるか? Linux MintとChrome OS Flex
バックアップの方法 オフライン・オンラインバックアップとは?
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その1
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その2
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その3
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その4
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その5
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その6
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その7
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その8
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その9
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! ラスト
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を見ていきましょう!
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を見ていきましょう!その2
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を見ていきましょう!その3
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を見ていきましょう!その4
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その1
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その2
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その3
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その4
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その5
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その6
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その7
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その8
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その9
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その10
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その11
─事件を解決せよ─ CASE2:Webサイトのデータが消えた Part 1
─事件を解決せよ─ CASE2:Webサイトのデータが消えた Part 2
今日はバックアップに関する最近の話題をつらつら語りたいと思います
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その12
─事件を解決せよ─ CASE3:火事でオフィスが焼失 Part 1
─事件を解決せよ─ CASE3:火事でオフィスが焼失 Part 2
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その13(最終回)
今日はバックアップに関する最近の話題をつらつら語りたいと思います その2
オフサイトバックアップに関する最近の話題をつらつら語りたいと思います
バックアップがきちんとしていれば起きていなかった情報事故 その1
バックアップがきちんとしていれば起きていなかった情報事故 その2
中小企業のための簡単・安価なデータバックアップ戦略 その10
大企業における物理的媒体による遠隔地バックアップの重要性 その1
大企業における物理的媒体による遠隔地バックアップの重要性 その2
大企業における物理的媒体による遠隔地バックアップの重要性 その3
