ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その2
みなさん、こんにちは!
株式会社カチカのリモート&コールドバックアップ業務担当の村島です!
そろそろお正月がどうのこうのっていう話が出てくる頃合いですね。
私には甥と姪がひとりずついます。ふたりとも姉の子供です。
このふたりが、割と年齢が離れてるんですね。この子たちがまだ本当に子供だったころにはよく実家に集まってワイワイしていたんですが、大きくなるに従ってあんまり交流がなくなっていきました。
姪の方は年が明けたら高校受験のはず?甥の方は学校を卒業しているはずだからお年玉はいいか。
なんてことを考えていたんですが、甥の方はまだ学校行ってるそうです。
この甥がですね。子供のころすごく私に懐いていまして、うちに来て泊まりたがるんですね。
私の家にはおもちゃなんてないので、とりあえず簡単なところでGifアニメの作り方を教えてやったんですよ。
自分が設定したとおりにコンピュータが動くという感覚が面白かったらしく、現在プログラミング方面の勉強をしていて、そっちの方に就職していくんだろうなと思ってます。
軽い気持ちでやったことが次世代の若者の人生を決めてしまうんですね。
まあそんな感じで、今日もレッツスタディセキュリティ!なのです。
前回からの続きです。

ストップ! ランサムウェア ランサムウェア特設ページより引用
このページの赤丸で囲った文章を見ていたんでした。一応その文書の1ページ目だけでも出しましょうか。

(以下、特記なき場合同文書からの引用とします)
で、なんだかんだで2文めまでは終わりましたんで、今回は3文めということになりますね。
割と長めな文章です。文章そのものも引用しておきましょうか。
ランサムウェアは国境を越えた複雑な問題であり、対処するためには強力な国際連携が必要である。2023年に開催された第3回CRIサミットでは、CRIはランサムウェアの要求に対し金銭支払を避けることを強く勧める共同声明を発出した。この声明はランサムウェアの実行者への身代金の支払いについて、次のように認識している。
• インシデントの終息や、貴方のシステムから悪意のあるソフトウェアの削除を保証しない。
• 犯罪者に対して、彼らの活動を継続・拡大させるインセンティブを与える。
• 犯罪者が不正活動のために使用できる資金を提供する。
• 貴方がデータを取り戻すことを保証しない
まあ最初の文章はいいでしょう。2つめの文章で延べられているのは、2023年に第3回CRIサミットというのが開かれ、ランサムウェアを使ったサイバー犯罪の犯人どもに金はくれてやるな、ということを強くおすすめする声明を発表したってことですね。いきなりCRIっていう略語が出て来ますので何かと思いますが、まあ多分「カウンターランサムウェア・イニシアティブ」のことで間違いないと思います。
次の文章と、その下に箇条書きにしてあることの関係がちょっとわかりにくいかな思いますので解説しますが、要するにその声明を出したCRIという国際会議グループは、ランサムウェアとその犯人連中っていうのはこんなことしよるこんな悪いやっちゃでえらいこっちゃな、ということを言っているわけです。
それをひとつずつ見ていきましょう。
インシデントの終息や、貴方のシステムから悪意のあるソフトウェアの削除を保証しない。
つまり、犯人グループに言われるままにお金を払ったとしても、インシデントを終わらせてもらえるとは限らないし、被害者のシステムからマルウェアを取り除いてもらえる保証もない、ということですよね。
一応言っておきます。前にも言ったかとは思うんですが、インシデントというのは日本語に訳しにくい言葉なんですが、事故一歩手前、もうちょっとで大事故だった危なかった、今回のことを教訓としてもっと気をつけることにしようね、というような出来事のことです。辞書を引くと「思いがけない出来事」なんていう訳が載っていたりもするそうです。しかし普通、いい方向の出来事には使いません。悪い方向の出来事にしか使わないと言っていいでしょう。
国土交通省に運輸安全委員会というのがあり、ここが航空・鉄道・船舶の事故があったりしたときに調査したりするんですが、事故に限らずインシデントがあったりしたらそれをリストにまとめています。
例えばこんな感じですね。
これ、この委員会が集めている事故やインシデントの記録の中で唯一新幹線が取り上げられている例です。JR西が悪かったインシデントなんですが、少なくともJRの本州3社の中で、JR西は最も安全意識が低いと私は思ってます。
てな雑談はさておき。つまり、犯人グループの要求を飲んだとしても、それで許してもらえる保証はどこにもない、ということですよ。
皆さん、逆に犯人側に立ったつもりになって考えてみてください。「これだけ払えば許してやるよ」って言ってお金を巻き上げて、実際には許してやらなかったとしても、金額を上げてまた要求することだって簡単です。
だいたい、サイバー犯罪者ってのは「技術力の高い俺様」を誇示して調子に乗ってる傾向がありますからね。他人は自分が思うとおりに動いて当然だと思ってる。だったら、反抗してやろうじゃないですか。お金は、残念ながら被害者ということになってしまった一般の方たちへのお詫びに使いましょう。
犯罪者に対して、彼らの活動を継続・拡大させるインセンティブを与える。
まさに上で書いたことが書いてありますね。サイバー犯罪者って、まあ人によっても違うんでしょうが、いくらか「自分の技術力を誇示したい」というのが目的に含まれていますからね。
もちろん彼らにとってもランサム=身代金というのは大きな目的でしょう。ですが、サイバー犯罪者っていうのはネットの疑似匿名性の影に隠れてやりたい放題やることを自分の長所みたいに思ってる面がありましてね。
ネットの向こうの人を攻撃したり嘲笑したりというのを有能さの証明みたいな感覚でいるやつらがいるわけなんですよ。よくいるでしょう、ネットサービスが匿名で利用できることを利用して他のユーザーを馬鹿にしていちびり倒してるやつ。それでいて「そこまで言うんなら対面で話してどっちが説得力あるかみんなに判断してもらおうや」と言っても絶対に乗ってこない。個人的には、某福沢諭吉大学関係者に多い気がするんですけどね。
攻撃者の心理的に考えると、カネは儲かるわ、自分の優秀さは誇示できるわ、人を馬鹿にして楽しめるわ、いいこと尽くしって感じなんですよね。
だからこそ、乗っかっちゃいけないということです。
犯罪者が不正活動のために使用できる資金を提供する。
まあ、犯罪者側から見てメインの目的はこれでしょうね。サイバー犯罪者グループと、国際的テロ組織が繋がっている可能性も十分あります。
サイバーも含めて犯罪者に対してお金を払ってしまうというのは、正当な経済活動を経ずに裏社会に資金が流れていってしまっているということになります。これはとんでもなく恐ろしいことです。
いずれにせよ、犯人グループに支払うぐらいならごめんなさいして被害者に賠償した方がいいってことです。
貴方がデータを取り戻すことを保証しない
うん、まあ、データは返ってこないか、あるいはもう裏社会でしゃぶり尽くされたガラみたいなものが返ってくるか、いずれかでしょうね。
結局のところ喰われてしまうのならば、犯罪組織に払う分が無駄だっていうことなんですよ。
声明の全文
ちなみになんですけど、声明の全文が載っています。英語なので機械翻訳したものをこちらに転載しておきますね。
政策文書
ランサムウェアの支払いに関するCRI共同声明
2023年11月2日発行
ランサムウェア対策イニシアチブのメンバーは、ランサムウェアとこれらの壊滅的な攻撃を実行する者を公に非難するために団結しています。
私たちは、ランサムウェアのビジネスモデルを弱体化させ、犯罪行為を阻止するために、ランサムウェアの支払いに対するアプローチに共同で取り組むことを約束します。私たちは、一見何の罰も受けずに行動するサイバー犯罪者の恐喝行為を容認しません。
したがって、私たちは、ランサムウェアの要求に応じないことを強く勧めます。私たち一人ひとりが模範を示すつもりです。私たちは、国家政府管轄下の関連機関がランサムウェアの恐喝要求に応じるべきではないという合意に達しました。
ランサムウェア攻撃者に身代金を支払う:
・インシデントの終息やシステムからの悪意のあるソフトウェアの削除を保証するものではありません。
・犯罪者が活動を継続し拡大する動機を与える
・犯罪者が違法行為に使用できる資金を提供する
・データが戻ってくることを保証するものではありません
我々は、インターポールを含む法執行機関を組み入れ、耐性を高め、これらの犯罪者が利用できる資金を制限しながら、ランサムウェアが各国に及ぼす脅威に包括的に対処し続けます。
機械翻訳(一部修正)
まあ、今回見た内容とだいたい同じですね。
ランサムウェアの被害に遭わないために
というわけで「ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンス(仮訳)」をちょっと見ただけで終わってしまいましたが、それじゃランサムウェアの被害に遭わないようにするにはどうしたらいいかという話になるんですね。
ランサムウェアの被害というのを分別するといくつかに分けることができると思います。
データを再び読めるようにしたければカネ払え
このデータをネットにバラ撒かれたくなければカネ払え
カネは払った?知るかよ。本当に何とかしたければもっと払え
というようなところでしょうか。
1番に関しては、弊社のオフラインバックアップ(コールドバックアップ)サービスでお役に立てると思います。ただし、より確実なセキュリティのためには、オンラインバックアップ(ホットバックアップ)を併せてご利用ください。弊社ではオンラインバックアップ(ホットバックアップ)のサービスはご提供致しておりません。従いまして、御社の社内状態に最も相応しい業者とご契約ください。これがセキュリティの強化・向上に繋がります。
オンラインバックアップは、ネットワークに繋がったまま利用するものですので、ランサムウェアの対策としては不十分です。実際、ランサムウェアはだいたいネットワークの隙を突いてやってきます。侵入経路はだいたいネットワークなんです。その結果どうなるかと言いますと、こう↓なるわけです。

察庁発表資料 令和6年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について
バックアップもやられてしまうと。
ですのでオンラインバックアップというのは、操作を誤って削除してしまったとかそういうことの備えにはなっても、ランサムウェアのような人災や自然災害のような天災にはあまり役に立たないと言えるわけです。
ディザスタリカバリ=ディザスター・リカバリー=DRのための備えにはなっていません。
これも毎回のように出している言葉ですが
バックアップの3-2-1ルール
バックアップの3-2-1-1-0ルール
バックアップの5-2-1ルール
後者ふたつはひとつ目のバックアップの3-2-1ルールを発展させたものですが、せめてこの3-2-1ルールは採用していただきたいと思います。
念のために申し上げておきますが、オリジナルを含めて3個の記録を作り、2種類以上の媒体で、さらにそのうち1個は遠隔地に置いておくと。
2番目の3-2-1-1-0ルールというのは、3-2-1ルールに加えて1個のイミュータブル(変更できない)コピーを作り、さらにそれらに記録ミスがないかどうか確認してエラー0を目指すと。正直最後の0はなくてもいいかなという感じですが、イミュータブルはぜひひとつ作っていただきたいと思います。
最後の5-2-1ルールというのは、バックアップを5世代管理して、2種類以上の媒体を用い、1個は遠隔地へと。
弊社のオフラインバックアップサービスをご利用いただきますと、まず1個の遠隔地バックアップ(リモートバックアップ)は必然的に実現できます。オプションで世代管理もご希望の世代分承ります。そして、リストアテストを行うとき以外にはあらゆる配線を外して保管しておりますのでイミュータブルも実現できているとお考えいただいて問題ございません。
御社の利用しやすいクラウドストレージサービスをご利用の上、弊社もご利用いただきますと複合バックアップ(ハイブリッドバックアップ)として非常に強固な態勢が出来上がるかと思います。ぜひよろしくお願いいたします。
そしてデータをネットにバラ撒かれたくなければ…という脅しはどうなのかということを考えると、生の状態のデータを抜かれてしまったのならもう諦めてください。はっきり言って、手の打ちようがありません。そして、犯人グループに払うようなお金があったら、被害者への賠償に使いましょう。そして、日頃からの対策としては普通のフォルダのように使えるのに実は暗号化しているというタイプの暗号化ソフトをご利用になることをおすすめします。ステマだと思われたらいやなので商品名は出しませんが、お調べになると結構ヒットするはずです。
「あといくら払え」系統の脅しは、1回目に払ってしまった場合にのみ起こります。ですので、最初から要求を突っぱねるべきなんです。心理的に負けてはいけませんよ。
小括
最後にちょっと駆け足になりましたが、バックアップを取っておくとともに、最重要なデータに関しては暗号化した状態で利用するということも強力な備えになります。
そして、万が一のことがあっても犯人グループの要求を飲んでお金を払ってはいけません。なんの解決にもならないどころか、事態を悪化させる結果にもなりかねません。
攻撃者はあの手この手を考えてきますが、ちゃんとよく見て分類したら何パターンかしかないわけなんですね。だからそれぞれに対して防御策を講じてもその手間もお金も高が知れています。剣道で全く同じ試合というのはあり得ませんが、防具と言えば面、胴、籠手、垂れ以外に必要ないのと同じです。すみません、一応剣道経験者です。
攪乱戦法には惑わされないようにしましょう。
今日もありがとうございました。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
目次
クラウドストレージと遠隔地バックアップの相互補完性
クラウドストレージのデータ消失に関する責任の所在
ディザスタリカバリ手順をあらかじめ決めておくべき理由
弊社でお取り扱いしておりますデータ・OSにつきまして
クラウドストレージのメリット・デメリット
Windowsからの乗り換え先になるか? Linux MintとChrome OS Flex
バックアップの方法 オフライン・オンラインバックアップとは?
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その1
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その2
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その3
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その4
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その5
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その6
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その7
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その8
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その9
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! ラスト
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を見ていきましょう!
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を見ていきましょう!その2
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を見ていきましょう!その3
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を見ていきましょう!その4
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その1
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その3
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その4
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その5
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その6
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その7
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その8
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その9
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その10
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その11
─事件を解決せよ─ CASE2:Webサイトのデータが消えた Part 1
─事件を解決せよ─ CASE2:Webサイトのデータが消えた Part 2
今日はバックアップに関する最近の話題をつらつら語りたいと思います
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その12
─事件を解決せよ─ CASE3:火事でオフィスが焼失 Part 1
─事件を解決せよ─ CASE3:火事でオフィスが焼失 Part 2
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その13(最終回)
今日はバックアップに関する最近の話題をつらつら語りたいと思います その2
オフサイトバックアップに関する最近の話題をつらつら語りたいと思います
バックアップがきちんとしていれば起きていなかった情報事故 その1
バックアップがきちんとしていれば起きていなかった情報事故 その2
中小企業のための簡単・安価なデータバックアップ戦略 その10
大企業における物理的媒体による遠隔地バックアップの重要性 その1
大企業における物理的媒体による遠隔地バックアップの重要性 その2
大企業における物理的媒体による遠隔地バックアップの重要性 その3
