ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その9
みなさん、こんにちは!
株式会社カチカのリモート&コールドバックアップ業務担当の村島です!
なんだかんだで久しぶりになりましたが、ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう。
いつものごとく1枚ずつ画像だけ貼っていきますね。

「ストップ!ランサムウェア特設ページ」
より引用
これの赤丸を付したところから見ることができる文書ですね。例によって最初の1ページだけ画像で貼りましょうか。

より引用
(以降、特記なき場合同資料からの引用とします)
というわけで、順番に見ていきましょう。
検討するべきこと
11.我々は、組織が以下のことを検討することを推奨する:
まあこれはねえ…続きを読まないとなんとも言えませんよね。
12.組織はバックアップの利用可能性、復号鍵の代替入手先、復号鍵取得後の機能復旧にかかる時間の見積もりなど、技術的な状況について慎重に検討する。これらのツールのいくつかは、サイバーセキュリティ企業、法執行機関、又は市販のツールやオープンソースのツールから入手できる場合がある
これは前項で示された「検討すべきこと」の内容です。「検討する」とかなんとかの文章で示されていますが、これは「検討して下さい」ということです。
というわけで、これを少しずつ見ていこうというわけですが、
バックアップの利用可能性
弊社としてはまずお考えいただきたいのがこのバックアップですね。
以前から申し上げておりますように、クラウドバックアップを利用する、それも可用性は高いですがバックアップごと暗号化されてしまう可能性が高いです。
それを防ぐには、ランサムウェアとバックアップについての最近の話題についてでも述べましたが、
イミュータブルバックアップ=バックアップを変更不可能な状態で保存し、ランサムウェアによる改竄や削除を防ぐ
エアギャップバックアップ=ネットワークから物理的に隔離された場所にバックアップデータを保存し、ランサムウェアの侵入を防ぐ
が有効です。
これらの言葉の正確な意味も載せておきましょうか。
イミュータブルとは「変更不可能」という意味です。イミュータブルバックアップは、データを不変/変更不可能にし、削除・暗号化・変更を阻止してデータを保護する方法です。
イミュータブルバックアップというのは、クラウドでも提供されています。
有名なところではバラクーダバックアップですとか
Azure Storageとかがあるんですが
これらってやっぱりクラウドのサービスなんですよね。
イミュータブルですからデータが改変される可能性(暗号化される可能性も含めて)はないんですが、ノーウェアランサムのターゲットにされる可能性はありますね。
エアギャップバックアップについて
エアギャップバックアップについてはこういう会社様もあるのですが、なかなか役に立つことが書いてあります。
ここにはエアギャップについて2種類書かれています。物理的エアギャップと論理的エアギャップです。
物理的エアギャップというのが、弊社がご提供申し上げているバックアップサービスとなります。この会社様曰く「シンプルですが効果的」とのことです。実際のところ、このバックアップを、正当に利用したいにせよ悪さをしたいにせよ、何らかの操作がしたいのであれば物理的に手に取ってコンピュータに繋がないとどうしようもないわけで、これ以上強固な対策はないというのが弊社の考えです。
一方で論理的エアギャップというのは、バックアップを隔離された状況を仮想的に実現するものだとお考え下さい。そしてまたこのページにはその論理的エアギャップの一形態としてのエアギャップクラウドについても軽く紹介されています。
ただ、やっぱり論理的ということは物理的にはエアギャップになっていないわけで、そこを突いてくる攻撃者の存在があり得ないかというとそうでもありません。
というわけで、物理的・論理的にエアギャップを実現した場合のメリットとデメリットを考えてみましょう。
物理的エアギャップのメリット
高いセキュリティ
ネットワークから物理的に隔離されているため、外部からの不正アクセスやマルウェア感染のリスクを大幅に軽減できます。
特に、機密性の高い情報や重要なシステムを保護するのに有効です。
シンプルな構造
ネットワークの設定や複雑なセキュリティ対策が不要で、比較的簡単に導入できます。
専門知識がなくても、基本的な操作で安全性を確保できます。
物理的エアギャップのデメリット
利便性の低下
ネットワークに接続できないため、データの共有や更新が困難になります。
外部との連携やリアルタイムな情報更新が必要な場合には不向きです。
運用コスト
データのバックアップや移動に手間と時間がかかります。
物理的な媒体の管理や保管場所の確保も必要になります。
人為的ミス
データの受け渡しやバックアップ作業において、人為的なミスが発生する可能性があります。
人的なミスによる情報漏洩やデータ破損のリスクも考慮する必要があります。
というところになります。
バックアップにおいて、利便性とか可用性とかそういったものと、データの気密性というのはどうしてもトレードオフの関係になりがちで、上記デメリットの負担は御社が社内で実現しようと思うと無視できないことになると思いますが、そこを弊社が負担することによりメリットだけを御社は享受することができます。
物理的エアギャップの活用例
金融機関の基幹システム
政府機関の重要情報システム
研究機関の機密データ
医療機関の患者情報
あまり新規作成・変更・削除されないデータ向きということですね。
論理的エアギャップのメリット
高度なセキュリティ:
外部からの不正アクセスやマルウェア感染のリスクを軽減します。
特に、機密性の高いデータを扱うシステムや、社会インフラに関わるシステムにおいて有効です。
柔軟性:
物理的な配線や機器の設置が不要なため、システム構成の変更や拡張が容易です。
物理的な制約を受けにくいため、多様なシステムに適用できます。
コスト効率:
物理的なエアギャップに必要な設備や運用コストを削減できます。
ソフトウェアやネットワークの設定によって実現できるため、導入や管理が比較的容易です。
運用効率:
システムの運用管理を自動化しやすいため、人的ミスを減らし、効率的な運用が可能です。
リモートアクセスや集中管理などの機能を利用できるため、管理者の負担を軽減できます。
論理的エアギャップのデメリット
データ共有の困難性:
論理的エアギャップ環境では、データの受け渡しが物理的な手段に限られます。USBメモリや外付けHDDなどを用いる必要がありますが、これらは紛失や破損のリスクを伴います。また、大容量のデータをやり取りする場合には、時間と手間がかかります。
ソフトウェア更新の遅延:
システムを最新の状態に保つためには、ソフトウェアの更新が不可欠です。しかし、論理的エアギャップ環境では、インターネットに接続できないため、更新プログラムの入手や適用が困難になります。これにより、セキュリティ上の脆弱性が生じる可能性があります。
運用の複雑性:
論理的エアギャップ環境では、システムの構築や運用が複雑になります。例えば、システムのバックアップや復旧作業は、物理的な手段で行う必要があります。また、トラブル発生時の対応も、インターネットに接続された環境に比べて困難になります。
コストの増大:
論理的エアギャップ環境を構築・維持するためには、追加のコストがかかります。例えば、データの受け渡しに必要な媒体の購入費や、システム運用担当者の人件費などが挙げられます。
利便性の低下:
インターネットに接続できないため、様々なサービスや機能が利用できなくなります。例えば、クラウドストレージへのアクセスや、オンラインでの共同作業などが挙げられます。
ということになります。まだまだ語らなければいけないことはあるのですが、とりあえず今日はこの辺にしておきましょう。続きがありますからね。
犯罪者から復号鍵を入手する前に
復号鍵の代替入手先、復号鍵取得後の機能復旧にかかる時間の見積もり
復号鍵の代替入手先というのは、思ったよりもたくさんあるものです。Googleで「ランサムウェア 復号ツール」で検索してみて下さい。これに関しましては、世界中の技術者さんたちに頑張っていただとして考えなければいけないのは、その代替復号鍵で復旧するための時間を見積もり、その時間的・費用的コストを見積もって、バックアップからリストアした方がよい選択肢なのか、そこを比較して方針を決定して下さい。

何度も出しておりますこの図ですが、復号鍵をなんとか手に入れて復号するよりも早くすむかも知れません。
一応再度ご説明申し上げますと、緊急事態が発生した時点から、オフラインバックアップで、過去のある時点までリストアします。オフラインバックアップは一般的に言って長くなりがちですので、目標回復地点はある程度の過去になりがちです。
そこで、オフラインバックアップと並行してご利用になっているオンラインバックアップで極力現在に近いところまで復旧、あとは短い期間分を手動でバックアップするという手間になります。
ランサムウェアに備えて決めておくべきこと
13.業務妨害に対応する次善策を講じ、これらの次善策を維持する期間を決めておく。また組織への影響を検討する際は、システム機能性、業務運営への影響、顧客や従業員への影響(該当する場合はサプライ・チェーンへの間接的な影響を含む)、更なるデータ流出の可能性を評価する必要がある。
というわけで次の項目に行きましょう。
いきなり「業務妨害」という言葉が出て来ますが、まあランサムウェアのことですよね。
「犯人の言い分をのむ」以外の策を講じておいてくださいということですね。そして状況は常に動いていますから、いつまでそういう対処方法でやっておくかというのを決めておくべきでしょうということも述べています。
そして組織への影響を検討するというのは、システムがいかに機能するかの他に(これはまず間違いなく誰でも考えつくことでしょうからね)、業務の運用にいかに影響するか、顧客や従業員へどれぐらい影響するか、そして顧客や従業員に影響するということがわかったら、自社が属するところのサプライチェーンへの間接的な影響まで含めて下さい。
サプライチェーンというのは、原材料の取得から製品としてユーザーに届くまでの過程のことです。自社内で完結することの方が少ないでしょうね。製品というのは原材料の取得から加工、製品化、販売、それらを経てやっと最終的なユーザーの元にまで届きます。そこまで考えて下さいねっていうことです。
そして、ランサムウェアというのは情報の流出を伴うこともしばしばあるのはこれまでもくどいぐらい申し上げてきました。対応によっては、さらなる情報の流出もあり得るので、そこもお忘れなく。
そこまで考えて、最善の対策を考えましょう。これもこれまで何回も申し上げてきたことですが、カネ払え系の犯罪者は、被害者…というか被害者になりかけている人が冷静に状況を判断して最善の策を取るということを何よりも嫌います。
気を強く持ち、それでいて冷静に行きましょう。
小括
というわけで相変わらず読み込みをしてきたわけですが、ここでまた文章が一区切りしますので今日はここまでとしましょう。
最近この文章にもいろいろと反響いただきまして嬉しく思っています。今後ともいろいろな情報発信をして行きたいと思っています。今後ともよろしくお願いいたします。
目次
クラウドストレージと遠隔地バックアップの相互補完性
クラウドストレージのデータ消失に関する責任の所在
ディザスタリカバリ手順をあらかじめ決めておくべき理由
弊社でお取り扱いしておりますデータ・OSにつきまして
クラウドストレージのメリット・デメリット
Windowsからの乗り換え先になるか? Linux MintとChrome OS Flex
バックアップの方法 オフライン・オンラインバックアップとは?
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その1
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その2
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その3
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その4
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その5
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その6
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その7
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その8
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その9
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! ラスト
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を見ていきましょう!
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を見ていきましょう!その2
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を見ていきましょう!その3
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を見ていきましょう!その4
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その1
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その2
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その3
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その4
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その5
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その6
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その7
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その8
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その10
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その11
─事件を解決せよ─ CASE2:Webサイトのデータが消えた Part 1
─事件を解決せよ─ CASE2:Webサイトのデータが消えた Part 2
今日はバックアップに関する最近の話題をつらつら語りたいと思います
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その12
─事件を解決せよ─ CASE3:火事でオフィスが焼失 Part 1
─事件を解決せよ─ CASE3:火事でオフィスが焼失 Part 2
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その13(最終回)
今日はバックアップに関する最近の話題をつらつら語りたいと思います その2
オフサイトバックアップに関する最近の話題をつらつら語りたいと思います
バックアップがきちんとしていれば起きていなかった情報事故 その1
バックアップがきちんとしていれば起きていなかった情報事故 その2
中小企業のための簡単・安価なデータバックアップ戦略 その10
大企業における物理的媒体による遠隔地バックアップの重要性 その1
大企業における物理的媒体による遠隔地バックアップの重要性 その2
大企業における物理的媒体による遠隔地バックアップの重要性 その3
