─事件を解決せよ─ CASE3:火事でオフィスが焼失 Part 1
みなさん、こんにちは!
株式会社カチカのオフサイト&コールドバックアップ業務担当の村島です!
事件シリーズをまたやってみたいと思います。ただ、今回は事件の原因を探るという内容ではありません。何が起こったから危機になった、というのははっきりしています。
まあ、今日の内容を見ていきましょう。
ただしあくまでも、実際の事例を踏まえたフィクションだということはご認識いただきたいと思います。
では、今日もレッツスタディセキュリティ!なのです。
漬物製造会社社長東山清さんの話

(AIで生成)
私の名前は東山清と言います。江戸時代から続く漬物屋の社長をしています。
会社の規模は決して大きくはありませんが、どの製品も昔ながらの製法に則って製造しておりまして、飲食店様にも個人様にもご好評をいただいており、商売は順調のままこんにちまで来ました。
中には「漬物定食」というメニューをお客さまにご提供していらっしゃる飲食店様までありまして、味噌も醤油も弊社で作ったものをお使いいただいています。非常に好評だそうです。
漬物屋が味噌や醤油?と思われるかも知れませんが、実はこれは江戸時代にはそう珍しいことではなかったのです。同じ発酵食品として、漬物とともに扱っている店は結構あったそうです。
というわけで、商売は順調だったのですが、まさか社屋が火事に遭うとは…正直、困っています。
何とかならないでしょうか?
漬物製造会社副社長東山明さんの話

(AIで生成)
私は、父が社長を務めている漬物製造会社の副社長をしています。将来は跡を継ぐべく、早い段階からいろいろと勉強してきました。大学は農学部で出ましたし、20人ほどいる職人さんたちに混じって実際に漬物を作る作業も経験してきました。
2棟ある蔵が無事だったのは不幸中の幸いなんですが、いつどこにどの食品をどれぐらい送ればいいかということを管理している社内のシステムが火事によってコンピュータごと失われてしまいました。
データバックアップ業務とデータ復旧業務を手がけていらっしゃるというカチカ様のことをネット検索で見つけまして、お話を伺いたいと思ったのですが…何とかなりませんか?
株式会社カチカの聞き取りが始まります
カチカ「そうなんですか。大変なことに遭われましたね。可能かどうか、お話を伺いたいと思うのですが、よろしいでしょうか」
明「はい、答えられることに関しましては、全てお話しいたします」
カチカ「まず、今回の火災の状況について詳しく伺えますか」
明「はい、弊社は、2棟の蔵と、オフィス用の建物から成り立っています。蔵とオフィスが少し離れているところからオフィスの火事が蔵に延焼することは避けられたのですが、残念ながらオフィス棟は焼けてしまいました」
カチカ「オフィス棟はどんな建物でしたか」
明「昔は…会社組織になる前はこのオフィス棟が住居だったようです。従って、かなり古い建物ということになり、現在は住居は別に持っていてこの建物をオフィス用に転用したという形になります」
カチカ「なるほど、蔵と並んで歴史的な建物だったわけですね」
明「はい、特に歴史的建造物云々などといって認定されているわけではありませんが、昔ながらの仕事をしていらっしゃる左官屋さんが参考として見せてくれないかとお越しになったこともあったぐらいです。もちろん、社外秘の資料以外はご覧になっていただきました」
カチカ「なるほど、従業員は何名様ぐらいいらっしゃったのですか」
明「会社と言ってもほとんど家族経営なのが実態なので、社長の清、私、事務長をやっている母の和子、ここまでが家族で、総務・人事担当、営業担当、配送担当の3人が働いている、職人さんを除けば6人の小所帯です」
カチカ「PCを使ったネットワークは利用していましたか」
明「一応、利用していました」
カチカ「そのネットワークの構築はどのようになさいましたか」
明「外部のネットワーク構築専門家に頼るほどの大規模なネットワークではありませんので、私が構築しました」
カチカ「なるほど、お詳しいんですね」
明「それほど詳しいというほどのものではないのですが、一応は理系で大学を出ている形になりますので、いつの間にやら基本的なことは身についていたという形ですね」
ネットワークの詳しい話に入ります

(AIで生成)
カチカ「ネットワークはどのように構築なさいましたか」
明「それが、あまりきちんとした形で構築したという感じではないのです。父の清や母の和子は電卓片手に夜通しかかって決算をしたという世代ですのでコンピュータのことはほとんどわかりません。時代の変化につれてそこにPCが入ってきて、それをネットワークで繋いでというのが当たり前になってくるにつれて、私がネットワークを構築したのですが、正直なところ『使えればそれでいい』という発想で慌てて構築したという感じですので、配線なんかグッチャグチャでして、私が把握しているネットワークトポロジーが本当に間違っていないのか自信が持てない部分もあります」
カチカ「では、把握されている限りで結構です。どのような構成で使っていましたか」
明「大げさなものではありません。少しスペック高めのPCを1台用意してそれをサーバーにして、ルーターにそれを繋いでいました。同じルーターに各自のPCがつながっているという形です。また、NASも設置していました」
カチカ「業務上どうしても必要なデータがあると思うのですが、それはどこに保存していましたか」
明「主にNASです。データ保存以外の役割は全てサーバーで行っていましたが、サーバーを通してメールが入ってくると同時にそれをNASにも保存しておくようにしていました。弊社はネット通販は行っておらず、おなじみのお客さまから電話かメールでご注文を承っていたので、何とかなるものならNASだけでもお願いしたいと思います」
カチカ「なるほど。ではNASを中心に考えて、その他のデバイスに関しましては復旧できそうであれば復旧作業を行うという方向で行きましょうか」
明「ぜひ、よろしくお願いします」

(AIで生成)
ネットワークが丸ごと失われたときにどうすればいいか
カチカ「NASに重要データが保存されていたということですが、暗号化したり御社の専用システムからしか内容が見られなかったりするということはありますか」
明「受注状況については、NASが復旧すればどんなPCからでも見ることができます。しかし実は同じNASに漬物の製法を詳述した資料を保存してあるんです。これは弊社の企業秘密ですので暗号化して保存してあります。しかし長い間触っていないデータになりますので、正直なところ復号キーが合っているかどうか自信がありません。ただ、製法については『職人の腕が覚えている』と職人さんたちが自信を持っていますので、失われても復旧することは難しくないと思います」
カチカ「なるほど。ではまずNASのデータに絞りましょう。バックアップは取っていらっしゃいましたか」
明「RAID1を構築していましたので、それで対応していましたが、念には念をということで私が手動で毎週金曜日の業務時間後に外付けHDDにバックアップを取っていました」
カチカ「そのバックアップはどこに保存されていますか」
明「防災金庫の中です」
カチカ「その防災金庫は残っていますか」
明「はい、残っていました。しかし、火事が起こったら、後処理も面倒くさいものなんですね。原因が特定できるまでオフィス棟とその中にあったものに手を触れることすらできませんでした」
カチカ「毎週金曜日にバックアップを取られていたということですが、差分バックアップや増分バックアップは行っていらっしゃいましたか」
明「ミラーリングがあるからいいか、と考えてしまっていました」
カチカ「では、クラウドストレージはお使いになっていらっしゃいましたか」
明「ある程度の容量だと利用料が結構かかること、データが失われたり漏れたりしたときに誰に責任があるのか今ひとつはっきりしないこと、読み書きが遅いことなどを考え、利用しないことに決めました」

(AIで生成)
カチカ「なるほど、情報セキュリティ対策はミラーリング、週1のバックアップで対応なさっていたということですね。バックアップ用のHDDに関しては、いまは取り出せるということですね」
明「はい、いまは大丈夫です」
カチカ「念のために伺いますが、火災の原因は何だったのですか」
明「ネズミです。なにしろ古い建物ですので、コンセント類は後付けでつけたため、電気のコードなどは壁に這わせてあったんです。それをネズミが囓ったことによる漏電が原因だというところで決着しました」
カチカ「なるほど、コンピュータ類の異常はなかったと」
明「そういうことになります」
カチカ「では、各PCに入っていたストレージも念のため復旧できるかどうか試してみましょうか。即必要なものではないにせよ、環境の再構築というのは意外と手間のかかるものですので」
明「その方がいいでしょうか」
カチカ「1からの環境再構築は3日完徹が当たり前、なんていうことも言われますし、様々なWebサービスを利用するときに楽なようにパスワードを忘れて利用できないなどということがないように、ブラウザに記憶させていたなどといったこともおありなのではないでしょうか。有料ソフトウェアを購入してお使いだったのであればプロダクトキーが再び必要となりますし、そもそもどんなソフトウェアをお使いでいらっしゃったか全て把握していらっしゃいますでしょうか。そう考えますと、やはり非常に手間がかかる作業ですし、完全には元に戻せないということもあるかと思います。一方、壊れたPCの中のストレージが大丈夫なのであれば、それを取り出して環境移行ソフトで新しいPCに写した方が楽だと思います」
明「では、そうしていただけますか」
カチカ「ちなみに、PCはデスクトップとノート型のどちらですか」
明「全てデスクトップですね」
カチカ「この中で言うとどのサイズになりますか」

https://www.pc-koubou.jp/sales/faq_list.html?page=2&category=146
明「サーバーはミドルタワー、他は全てスリムですね」
カチカ「なるほど、ではストレージだけを取り出せますね。ご面倒をおかけしますが、取り外して送っていただくことは可能でしょうか」
明「そのぐらいの作業であれば可能ですが、復旧の可能性はどのぐらいありますでしょうか」
カチカ「実際拝見してみないとなんとも申し上げることはできませんが、HDDもSSDも耐熱温度は70℃~85℃ぐらいとされています。金庫に入れてあったバックアップは少し可能性が高いにしても、なにしろ火事ですからね。かなり難しい案件であることには間違いありません」
明「何卒よろしくお願いいたします」
カチカ「最善を尽くさせていただきます」
原因が明らかな情報事故の場合には行うことはシンプル
というわけで、火事により重要情報が失われてしまったという事例を取り上げてみました。
実際のところ、オフサイトバックアップの必要性が見直されることになったのは東日本大震災という大災害だったわけです。当然、データはPCごと使えなくなってしまいます。
正直なところ、東日本大震災においてどれぐらいのデータが失われたのか詳しい数字はわからないのですが、いずれにせよ保存しておいた記録媒体も、それを使っていたPCも、インターネットも使えないことが問題視されたわけですね。
しかし、相前後してクラウドストレージが急速に発達したことにより、いつの間にやら利便性のことばかりが注目されることになり、災害が起こったときのことは忘れ去られているように思います。
泥臭いようですが、自分の目で見て、手で触れるメディアに保存しておくことも重要であると、私は強く訴えたいのです。
というわけで、ちょっと短いですが今日はここで終わりたいと思います。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
では次もよろしくお願いいたします。
目次
クラウドストレージと遠隔地バックアップの相互補完性
クラウドストレージのデータ消失に関する責任の所在
ディザスタリカバリ手順をあらかじめ決めておくべき理由
弊社でお取り扱いしておりますデータ・OSにつきまして
クラウドストレージのメリット・デメリット
Windowsからの乗り換え先になるか? Linux MintとChrome OS Flex
バックアップの方法 オフライン・オンラインバックアップとは?
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その1
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その2
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その3
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その4
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その5
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その6
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その7
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その8
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その9
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! ラスト
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を見ていきましょう!
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を見ていきましょう!その2
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を見ていきましょう!その3
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を見ていきましょう!その4
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その1
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その2
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その3
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その4
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その5
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その6
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その7
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その8
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その9
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その10
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その11
─事件を解決せよ─ CASE2:Webサイトのデータが消えた Part 1
─事件を解決せよ─ CASE2:Webサイトのデータが消えた Part 2
今日はバックアップに関する最近の話題をつらつら語りたいと思います
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その12
─事件を解決せよ─ CASE3:火事でオフィスが焼失 Part 2
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その13(最終回)
今日はバックアップに関する最近の話題をつらつら語りたいと思います その2
オフサイトバックアップに関する最近の話題をつらつら語りたいと思います
バックアップがきちんとしていれば起きていなかった情報事故 その1
バックアップがきちんとしていれば起きていなかった情報事故 その2
中小企業のための簡単・安価なデータバックアップ戦略 その10
大企業における物理的媒体による遠隔地バックアップの重要性 その1
大企業における物理的媒体による遠隔地バックアップの重要性 その2
大企業における物理的媒体による遠隔地バックアップの重要性 その3
