バックアップがきちんとしていれば起きていなかった情報事故 その2
皆様こんにちは。
株式会社カチカのオフサイト&コールドバックアップ業務担当の村島です!
前回と同じ挨拶になってしまいますが、今朝も結構寒かったですね。布団こそ略してますが、着るものは冬装備で寝ています。
というわけで、今日も恒例(にしたい)関係ない話から始めたいと思います。
5頭の馬がいて、この中からどの4頭を選んだとしても、同じ色だったことが証明できたとします。A・B・C・D・Eといるとして、A~DとB~Eを選んだことを考えると、B・C・Dは共通なことからAとEも同じ色となり、5頭全て同じ色と言えます。
同様に4頭が全て同じ色と言うには「どの3頭を選んでも同じ色」であることが証明できればそれで良いです。
そして3頭が全て同じ色というのは「どの2頭を選んでも同じ色」であることが証明できれば良いです。
2頭が全て同じ色を証明するには「どの1頭を選んでも同じ色」であることが証明できれば良いです。
1頭の馬が全て(?)同じ色であることを証明するにはその1頭の色を確認すればいいのは言うまでもないですが、これを認めると、上記のことを遡って2頭の馬も同じ色であり、3頭も、4頭も、5頭も同じ色という事になります。
この議論は6頭以上のどんな大きな数でも続けられるのでこの世の馬は全て同じ色と言えてしまいますね。
これのどこがおかしいかは、割と簡単だと思うのですが…。
失敗事例から導かれる教訓と効果的なバックアップ戦略
というわけで、失敗事例から学んでまいりましょう。実際どんなことに関しても、成功事例より失敗事例の方が、学ぶ題材としては良いことが多いですのでね。
A. バックアップ失敗の共通要因と課題
近年の情報セキュリティ事故から、バックアップが機能しなかった、あるいは被害を拡大させた共通の要因が明らかになっています。これらの課題を深く理解することが、今後の対策を講じる上で不可欠です。
バックアップデータの感染・破壊リスク
前述の事例(ほくやく・竹山ホールディングス 、県立精神科医療センター 、CloudNordic/AzeroCloud 、春日井リハビリテーション病院 など)が示すように、ランサムウェア攻撃者はバックアップシステムを積極的に標的にし、暗号化や破壊を行います。これは、バックアップが本番システムと同じネットワーク上に存在したり、アクセス制御が不十分であったりする場合に特に顕著です。多くの失敗事例が、バックアップデータ自体が攻撃によって破壊されたり暗号化されたりしていることを示しています。これは、バックアップを「取る」こと自体が目的化され、そのバックアップを「保護する」という視点が欠けていた結果です。攻撃者がバックアップを標的とするのは、そこが「最後の砦」であることを知っているからであり、防御側も同様に、バックアップを最重要資産として保護する戦略に転換する必要があります。これは、バックアップの可用性と機密性だけでなく、その「完全性(Integrity)」を確保することの重要性を強調しています。

(AIにより生成)
復旧テストの不足と復旧時間の長期化
バックアップを取得しているにもかかわらず、実際にデータが復旧できなかったり、復旧に想定外の時間がかかったりするケースが多発しています。これは、定期的な復旧テストが行われていない、あるいはテストが不十分であることに起因します。「バックアップ環境を導入してからそのままにするのではなく、年に1~2回の定期訓練を行い、実際にバックアップをリカバリーする状況が発生した場合を想定して改善点を洗い出すといった取り組みは必須」と指摘されています。特に、バックアップ電源システムのテスト不足は、実際の障害時に機能しないという致命的な結果を招く可能性があります。復旧に数ヶ月を要した事例は、計画と現実のギャップを示しています。定期的な復旧訓練は、このギャップを埋め、潜在的なボトルネックを特定し、改善するための唯一の方法です。RTO(目標復旧時間)やRPO(目標復旧時点)を定義するだけでなく、それらの目標が現実的であるか、そして達成可能であるかを定期的なテストを通じて確認するプロセスが欠けていることが、復旧失敗の共通要因です。

あるいはテストが不十分な際に起きる悲劇のイメージ
(AIにより生成)
オフライン/エアギャップバックアップの欠如
オンラインで常に接続されているバックアップは、本番システムが感染した場合に同時に被害を受けるリスクが高いです。ランサムウェア対策として、バックアップシステム・データを社内から切り離されたエアギャップ環境(物理的または論理的に隔離された環境)に存在・保管することの重要性が強調されています。ほくやく・竹山ホールディングス、県立精神科医療センター、CloudNordic/AzeroCloud、春日井リハビリテーション病院の各事例は、オンラインバックアップが本番データと同時に被害を受けるという共通のパターンを示しています。これは、バックアップが「最後の砦」として機能するためには、攻撃者が到達できないように物理的または論理的に隔離された「エアギャップ」環境に保管することが不可欠であるという結論に繋がります。この隔離は、ランサムウェア攻撃に対する最も堅牢な防御策の一つであり、従来のバックアップ戦略に必須の要素として組み込むべきです。

(AIにより生成)
バックアップシステム自体の脆弱性
バックアップソリューション自体に脆弱性がある場合、それが攻撃の足がかりとなるリスクも存在します。また、バックアップ環境の導入後に訓練や改善が行われないと、実運用で機能しない可能性があります。バックアップシステムが攻撃の標的となるだけでなく、そのシステム自体が脆弱性を持つ可能性があるという事実は、バックアップソリューションの選定と運用において、そのセキュリティ機能(例:ランサムウェア攻撃検知機能 )や堅牢性を重視する必要があることを示唆しています。バックアップシステムは、攻撃者が最も狙う「金庫」であるため、その「金庫」自体の鍵や壁が強固でなければ意味がありません。

(AIにより生成)
盤石なバックアップ運用を実現するための提言
上記で分析した失敗事例から得られる教訓を踏まえ、組織がデータ保護と事業継続のレジリエンスを向上させるための具体的な提言を以下に示します。
「3-2-1ルール」の徹底と多層防御
「3-2-1ルール」(3つのコピー、2種類のメディア、1つはオフサイト)は、データ損失を防ぐための基本的ながら極めて効果的な戦略です。これにより、単一障害点のリスクを軽減し、多様な脅威に対応できます。特に、火災や地震などの災害に備え、遠隔地へのバックアップは必須であり、同じ場所にバックアップを取っていたために元データと共に失われた事例 は、その重要性を強く示しています。多くの最新の事例が、基本的な「3-2-1ルール」の原則が守られていなかったり、その適用範囲が不十分であったりしたために被害が拡大したことを示しています。これは、最新の脅威に対しても、普遍的なデータ保護の原則が依然として有効であり、その徹底こそが第一歩であることを強調しています。

(AIにより生成)
イミュータブル(不変)バックアップの導入
バックアップデータがランサムウェアによって改ざん・削除されることを防ぐため、イミュータブル(不変)な形式でデータを保管することが強く推奨されます。これにより、一度書き込まれたデータは変更・削除できなくなり、攻撃者によるバックアップの破壊を防ぐことができます。攻撃者がバックアップを標的とし、その破壊や暗号化を試みるという現状に対し、イミュータブルバックアップは直接的な技術的対抗策となります。これは、バックアップが「存在する」だけでなく「保護されている」状態を保証するための重要な要素であり、データ復旧の確実性を飛躍的に高めます。

(AIにより生成)
定期的な復旧訓練とRTO/RPOの明確化
バックアップ環境を導入するだけでなく、年に1~2回、実際にバックアップからのリカバリーを行う訓練を必須とすべきです。これにより、実際のインシデント発生時に迅速かつ正確な復旧が可能になります。復旧に必要な時間(RTO: Recovery Time Objective)と、許容されるデータ損失量(RPO: Recovery Point Objective)を事前に明確に定義し、訓練を通じてその達成可能性を検証することが重要です。復旧に長期間を要した事例は、計画と現実のギャップを示しています。定期的な復旧訓練は、このギャップを埋め、潜在的なボトルネックを特定し、改善するための唯一の方法です。

(AIにより生成)
バックアップシステムへの厳格なアクセス制御と監視
バックアップシステムへのアクセスは厳格に管理し、多要素認証(MFA)やロールベースアクセス制御(RBAC)などを導入して、不正アクセスや改ざんのリスクを最小限に抑えるべきです。ランサムウェア攻撃検知機能を持つバックアップソリューションの導入も有効です。CloudNordic/AzeroCloudの事例のように、バックアップシステムへのアクセス経路が確保されてしまうと、バックアップデータも容易に破壊されます。これは、バックアップシステム自体が、他の基幹システムと同様、あるいはそれ以上に厳重なアクセス制御と監視の対象となるべきであることを意味します。

(AIにより生成)
サイバーセキュリティチームとバックアップチームの連携強化
組織の半数以上(アジア太平洋地域では62%)が、バックアップチームとサイバーチームの連携について「大幅な改善」または「全面的な見直し」が必要であると回答しています。インシデント対応体制を整備し、上司、CSIRT、関係組織、公的機関(警察庁、厚生労働省など)との適切な報告・連絡・相談を行うことが重要です。この調査結果は、バックアップとサイバーセキュリティが組織内でサイロ化している現状を示唆しています。しかし、ランサムウェア攻撃がバックアップを標的とする以上、これら二つの機能は密接に連携し、情報共有と共同での訓練を行う必要があります。

(AIにより生成)
事業継続計画(BCP)への統合とサプライチェーン全体の考慮
バックアップ戦略は、より広範な事業継続計画(BCP)の一部として位置づけられるべきです。BCPには、リスク評価、重要システムの特定、復旧チームの編成、そして計画の定期的なテストが含まれます。サプライチェーンの脆弱性を考慮し、主要なサプライヤーのBCP/DRPを評価し、代替計画を準備することも重要です。Change Healthcareや日本電子計算の事例は、自社単独の対策だけでは不十分であり、サプライチェーン全体のリスクを管理する必要があることを示しています。

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まとめと今後の展望
バックアップは単なる保険ではない:戦略的投資としての位置づけ
近年の情報セキュリティ事故の事例は、バックアップが単なる「保険」ではなく、事業継続を担保するための「戦略的投資」であるという認識の重要性を強く示しています。バックアップの不備は、データ損失だけでなく、長期にわたる事業停止、多額の復旧費用、そして企業の信頼失墜という甚大な被害を招きます。ランサムウェア攻撃者がバックアップを標的とする現代においては、バックアップの有無だけでなく、その堅牢性、隔離性、復旧可能性が問われます。組織は、バックアップソリューションへの投資を、単なるITコストではなく、事業のレジリエンスと競争力を高めるための不可欠な要素として位置づける必要があります。

(AIにより生成)
組織全体でのセキュリティ文化の醸成と継続的な改善
効果的なバックアップ戦略は、技術的なソリューションの導入に留まらず、組織全体でのセキュリティ意識の向上、厳格な運用プロセスの確立、そして定期的な訓練と改善のサイクルを通じて実現されます。人的ミスや運用体制の不備がデータ損失や復旧失敗に繋がった事例は、技術的な対策だけでは不十分であり、組織の「人」と「プロセス」がボトルネックになりうることを示しています。経営層がサイバーセキュリティの最新の脅威を理解し、対策を指揮する「風土づくり」が不可欠です。これにより、従業員のセキュリティ意識を高め、厳格な運用を促す上で極めて重要です。最終的に、バックアップが機能するかどうかは、技術的な実装だけでなく、組織全体のセキュリティ文化と経営層のコミットメントに大きく依存します。情報セキュリティの脅威は常に進化しており、これに対応するためには、バックアップ戦略を含むセキュリティ対策も継続的に見直し、改善していく必要があります。

(AIにより生成)
弊社でお手伝いができること
というわけで、2回にわたり「バックアップがきちんとしていれば起こらなかった、あるいは被害を小さくできた実際の事件簿」をお送りしてまいりました。
バックアップがきちんとしていれば防げた、あるいは被害を小さく抑えられたという事態がなぜ発生するかと言えば、それはとりもなおさずバックアップを取ってそれを相応しく保管してリストアテストを行って…という作業が「何も利益を生まないにもかかわらず面倒くさい作業である」ということに尽きると思うんです。
前回と今回で述べましたとおり、しばしばバックアップは自社ネットワークの一部として扱われているんですよね。こうなってくると、攻撃者から見てひとつのネットワークに過ぎませんので、一旦侵入に成功してしまえばどうにでもできるんですよね。
弊社の基本サービスは、バックアップメディアをお預かりする、それだけです。しかし、これだけでも、なかなか実現の難しい「オフサイトバックアップ」と「エアギャップ」が実現できるかと思います。
他にも「リストアテスト」「世代管理」など、お客さまのご希望どおりにバックアップ戦略を構築するお手伝いを致します。
バックアップのあれこれを、ご相談いただければと思います。
ただ、ご理解いただきたいのは、バックアップ作業そのものはお客さまに行っていただく他、弊社では直接作業はできかねます。
有り体に申し上げてしまえば、バックアップは「便利になるほど弱くなる」というのが実態だと思います。ある程度の「面倒くささ」をお引き受けいただくことで、それ以上の安心をお届けできるかと思います。
Geminiクイズの答え
というわけなんですが、前回クイズを出したんでしたね。

(AIにより生成)
この人物は『デュラララ!!』というライトノベルでありアニメに出て来るキャラクター「セルティ・ストゥルルソン」です。
いろんなストーリーが絡み合う小説なんですが、そのうちのひとつという事になります。
確かアイルランドあたりで伝承があるという、真っ黒な服を着た首なしの女形化け物が、真っ黒な馬車を駆ってやってくるという怪談が下敷きにあります。
そんなセルティが、日本に自分の首から上が保存されていると聞きつけて日本にやってきて、真っ黒な馬車ならぬ真っ黒なバイクを駆って走り回るんですね。本人も真っ黒いライディングジャケットを着て。ヘルメットだけは、猫耳のついた黄色いものを被っています。
これもライトノベルながら読んでみますとなかなか面白い作品です。ちょっと古めな作品かも知れませんが。
文庫本というのは、結構いろんなシーンに役立つ、カバンに1冊入れておくと助かるアイテムです。
スマホ見るより目に優しいし、満員電車の中で読んでいたら痴漢冤罪予防にもなります。
図書館で借りればコストも0!
お勧め致します。
さて、それじゃまあ今回も「これは誰でしょう?」クイズを出してみましょうか。

(AIにより生成)
今回もヒントを。
実在した人物(故人)です
ミュージシャンです
このnoteで過去に話題に出したことがあります(←大ヒント!)
というわけで、次回にまたお目にかかりましょう。
ありがとうございました。
今後ともよろしくお願いいたします。
目次
クラウドストレージと遠隔地バックアップの相互補完性
クラウドストレージのデータ消失に関する責任の所在
ディザスタリカバリ手順をあらかじめ決めておくべき理由
弊社でお取り扱いしておりますデータ・OSにつきまして
クラウドストレージのメリット・デメリット
Windowsからの乗り換え先になるか? Linux MintとChrome OS Flex
バックアップの方法 オフライン・オンラインバックアップとは?
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その1
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その2
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その3
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その4
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その5
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その6
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その7
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その8
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その9
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! ラスト
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を見ていきましょう!
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を見ていきましょう!その2
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を見ていきましょう!その3
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を見ていきましょう!その4
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その1
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その2
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その3
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その4
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その5
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その6
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その7
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その8
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その9
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その10
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その11
─事件を解決せよ─ CASE2:Webサイトのデータが消えた Part 1
─事件を解決せよ─ CASE2:Webサイトのデータが消えた Part 2
今日はバックアップに関する最近の話題をつらつら語りたいと思います
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その12
─事件を解決せよ─ CASE3:火事でオフィスが焼失 Part 1
─事件を解決せよ─ CASE3:火事でオフィスが焼失 Part 2
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その13(最終回)
今日はバックアップに関する最近の話題をつらつら語りたいと思います その2
オフサイトバックアップに関する最近の話題をつらつら語りたいと思います
バックアップがきちんとしていれば起きていなかった情報事故 その1
中小企業のための簡単・安価なデータバックアップ戦略 その10
大企業における物理的媒体による遠隔地バックアップの重要性 その1
大企業における物理的媒体による遠隔地バックアップの重要性 その2
大企業における物理的媒体による遠隔地バックアップの重要性 その3
